栃原比比奈 Hiina Tochihara

1977年東京都港区生まれ横浜育ち。建築家の父と経営を共にしていた母の趣味で幼少期から頻繁に引っ越しを体験。周囲と馴染むことが出来ず絵の中に居場所を見出す。多摩美術大学で油絵を学んだのち、経済的理由でキャラクターデザイナーとして企業に就職するも長くは続かなかった。その後結婚や離婚を経てからは、特に沖縄や九州地方を放浪したり、さまざまな仕事を転々としながらも自分の絵について常に考え試行錯誤する日々を過ごした。

2001年に多摩美の油画を卒業後、今までずっと絵と向き合う中で「歯車がかみ合った」と感じたのは
2022年9月のある日に描いた5枚の顔の絵だったそうだ。

手ごたえを感じて以来、彼女は毎日が新鮮に見えるようになったと言う。

栃原の絵は豊かな色彩、一瞬を捉えるスピード感があり、何より絵を描く喜びがみなぎっている。
怒涛のように絵を描き続けている彼女は長年奥底に溜まっていたマグマが爆発したかのようだ。
その波動は、多くの人の心も揺るがすパワーを秘めている。

WORKS

CV

1977年生まれ

2001年多摩美術大学絵画科油画専攻卒業 ​

主な展示歴

2001年二人展(key gallery/銀座)
2010年個展(ギャラリー山口/京橋)
2015年シェル美術賞2015(新国立美術館)
2016年シェル美術賞2016(新国立美術館)
2023年ドロペイ。展(ターナーギャラリー/東京豊島区)
   

受賞歴

2001年 福沢一郎賞

その他

2023年「栃原さんとPAIR」 画家OJUN氏より寄稿

Statement

1枚の絵を描くのにこう描かなければならないという決まりごとはない。
何を描いてもいいし、どう描いてもいい。

わたしは顔を描き、その人の何かやどこかを描いている。

なぜ?と問われると少し困る。
それは、確かに顔や何かどこかを描いているように見えるけれど、
本当はそうでもないからだ。

世界は1つではなくて、常に内と外とは隣り合っている。
明るい場所があれば暗い場所もある。
本当もあれば嘘もある。

いびつな顔の中には想像力をかきたてる何かがある。

何を描くかのゴールを決めず、「イメージをどう描くか」という問いに向き合うこと。
コントロールしすぎず、アクシデントや偶然起きたことをどう活かすか。

ペインティングがわたしをつくりあげていくような気分で、
顔のような風景のような抽象のような何かを発明したり、壊したりして絵が絵になる。

どこに向かって何が起こるか、わたしにも分からない。
どう対応するかを考えて行動することが、わたしの絵の全てだと思う。
何を描くかではなく、どう生み出すか。
どう描いて、それをまた何か別なものに変換するか。

絵はわたしにとって常に変化し続けるプロセスであり、
無限の可能性を感じさせる場所だ。

Hiina Tochihara(HP)
hiina_tochihara(instagram)